「ザリガニの鳴くところ」 私が痺れた100の本
ここ数日暖かかったので
庭のメダカが「春が来た!」と思い込んで
やたら活性が上がっている様子を見て、複雑な気分でおります
餌あげたら喜んで食べるはずだけど、どうせまたすぐ寒くなるじゃない
そうすると消化不良で死んじゃう子も多いからね
ここはぐっと我慢で、見て見ぬふりをするしかないのよね
春と言えば捨て猫「はなちゃん」
彼女もそろそろ可哀そうだが避妊手術させないと
人間さまの身勝手では御座いますが
比較的多い、猫における婦人科系の病気の予防にもなるのよ
って、動物でも「婦人科系」っていうんかの?なんかおかしいな
駄目だ、頭が回んねぇ
などなど、考えながら晩餐
昨夜は「チキン・バジルチリソース」
甘くてむちゃ辛い、たまに喰うと美味いエスニック
さて、なんやかやと忙しいのは本当なんですが
気分転換の時間は、なるべく小説を読むようにしています
ここのところご無沙汰だったからね
そんな中、出会ったこの一冊
ザリガニが鳴くところ・私が痺れた100の本・その18
2019の全米ベストセラーらしいのでご存知の方も多いかと
いや、これがだね
ちょっと唸ってしまいました
ジャンルはなんだろ?簡単に言うとミステリーになるのだが
そんな陳腐な言葉では片付けれない、なんとも深くて
忘れがたい物語なんですわ
内容(「BOOK」データベースより)
ノース・カロライナ州の湿地で男の死体が発見された。
人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられたときから、
カイアは湿地の小屋でたったひとり生きなければならなかった。
読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女のもとを去ってゆく。
以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、
彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた
しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく…
みずみずしい自然に抱かれて生きる少女の成長と不審死事件が絡み合い、
思いもよらぬ結末へと物語が動き出す。全米500万部突破、感動と驚愕のベストセラー。
湿地にて、想像を絶する孤独を抱えて生きる少女に
最初は戸惑い、しかし祈るように感情移入して
その見事な成長に、快哉に似た喜びを感じたとたんに
またもあまりの理不尽に、我が事のように怒りを覚え
そして最後には、理解できてしまうのですよ
彼女という人間の核や、ザリガニが鳴くところというタイトルの意味
愛の残酷さや、人生の非情さ、無償の優しさや善性
どれだけ努力しようが、願おうが決して手に入れられない何かを
ジメジメと鬱陶しくも、沢山の生命を包み込む懐深い湿地
その風景と溶け込むカイアの描写がとにかく素晴らしい
これから先、私はカモメを見る度、必ずこの小説を思い出すと思う
翻訳者の力量だろうな、繊細で瑞々しく躍動感に溢れ、美しいんですよ
なんの資料や知識がなくとも、目前に風景が広がり潮の香りを感じる
人生10冊に入るか?と聞かれると否ですが
もしこれをもっともっと若い頃、そうだな10代で読んでいたなら分からないし
この本が人生No.1って人がいても、それは少しも不思議じゃない
そんな傑作
調子乗って映画化とかしないことを切に願うわ